番外編(川島雄三作品) NEW 2014.2.22
『還って来た男』 川島雄三監督
1944年  松竹

NEW 2018.4.7 画面写真追加


川島監督の昭和19年のデビュー作『還って来た男』。
原作は織田作之助の「四つの都」「清楚」を合わせたもので脚本も織田作之助。
ロケーションは大坂の寺町・夕陽ケ丘界隈です。
67分のほのぼのとした映画ですが、笠智衆、佐野周二、田中絹代、三浦光子、日守新一と俳優は充実しています。

本作に関する織田作之助の文章と脚本が掲載されているネットのページ


記念すべき川島映画の最初のショットは、
今も変わらない石段坂道の「口縄坂:くちなわざか」(大阪市天王寺区下寺町2丁目)の下からゆっくりとした前移動で映したショットである。
雰囲気のあるとても綺麗な坂で散策の名所となっている。

この坂は映画では随所に登場し、ラストの中瀬古庄平(佐野周二)と小谷初枝(田中絹代)の二人のシーンにも出てくる。
ファーストショットとラストショットが同じ場所の同じアングルという洒落た構成になっている。

 


坂の上から見た「口縄坂」。画面手前の2つの石は映画にも映っている。
映画では子供たちが「馬跳び」で遊んでいるところに小学校教師(脚本では訓導)の小谷初枝(田中絹代)と尾形清子(草島競子)が、
石段の途中で転んですりむいた子供を介抱して、坂を上る。
遊んでいる子供たちも二人に挨拶する。


 

 


「口縄坂」を上った前の道。まっすぐ行くと大通りの「谷町筋」に出る。
現在の地下鉄「四天王寺前夕陽ケ丘」駅がある。
映画では、田中絹代と草島競子の二人を追いかけて坂を上ってくる峰谷重吉(日守新一)が小走りで遊んでいる子供たちの間を通り抜ける。
「口縄坂」上の夕陽丘町や生玉寺町界隈は、大坂市内の中でも静かで落ち着いた雰囲気の地域で、寺や神社が数多い。

 


田中絹代と草島競子は、「口縄坂」を上ってそのまま道を進み途中で右に曲がる。その道の写真。
映画では両側や正面もお寺があるように見えるが、現在は右側だけがお寺で、その他は住宅になっている。
70年前の映画なので、当然そのくらいの変化は考えられる。
映画では、二人は話しながらこの道をゆっくり歩いていくが追いかけてきた日守新一(新聞記者)の姿を見つけ立ち止まる。

 


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